女性起業家の数値シリーズ①:売れているのに利益が残らない?カフェの数字をやさしく整える見方

女性起業家の数字

数字は苦手…だからこそ一緒に見ていきましょう

こんにちは、中小企業診断士のはるこです。
Cafeやケーキ屋さんなど、小さな店舗を経営しているかたから
以下の相談を受けることがあります。

お客さまは来ている。
注文も入っている。
人気の商品もある。

それなのに、月末になると、

「思ったより手元にお金が残っていない」
「忙しかったのに、利益が少ない」
「もっと集客しないといけないのかな」と感じる。

何かよい解決方法はないか?という内容です。

カフェや小さなお店では、これはとてもよくある悩みかと思います。

もちろん、売上を増やすことは大切です。
でも、いきなり「もっと集客しなきゃ」と考える前に、まず見ておきたいことがあります。

それは、今のお店の数字を少しだけ分けて見ることです。

見る順番は、次の3つです。

  1. 月いくら売ればトントンになるのか
  2. どの商品が売上を作っているのか
  3. どの商品が利益を残しているのか

売上だけを見るのではなく、
「お店全体の黒字ライン」と「商品ごとの売上・利益」を分けて見る。

そうすると、
ただ頑張るのではなく、どこを整えればよいのかが見えやすくなるはずです。

まずは、売上だけで見ない

お店は忙しいんです。ランチも出ているし、常連さんもいる。
でも、月末になるとあまり残っていない……という相談、ありますよね。

ハルコアラ先生

ありますね。そういうときに『もっと集客しなくちゃ』と考えてしまうのですが…。
でもその前に、まず数字を分けて見たいところです。

売上が足りないのか?売れている商品の利益が薄いのか?
それとも固定費が重いのか?……ですね。

ハルコアラ先生

そうです。売れている商品が、必ずしも利益を残しているとは限りません。
まずは、お店全体として月いくら売ればトントンなのか。
次に、どの商品が売上を作っていて、どの商品が利益を残しているのか?
このあとしっかり見ていきましょう。

1. まずは「月いくら売ればトントンか」を見る

最初に見るのは、
お店全体として、月いくら売れば赤字にならないのかです。

難しい会計用語でいうと「損益分岐点」ですが、
まずはシンプルに、

月いくら売ればトントンになるか

と考えれば大丈夫です。

たとえば、あるカフェの1か月の数字が次のようになっていたとします。

項目金額
売上30万円
食材や仕入れ10万円
粗利20万円
毎月かかるお金15万円

売上が30万円。
食材や仕入れに10万円かかっているとします。

すると、

30万円 − 10万円 = 20万円

この20万円が、ざっくりいうと
「売上から原価を引いて残ったお金」です。

ここから、家賃、人件費、水道光熱費、通信費、システム利用料などを払っていきます。

毎月かかるお金が15万円なら、

20万円 − 15万円 = 5万円

なので、この月は5万円の利益が残っていることになります。

2. 損益分岐点を計算すると、黒字ラインが見える

もう少しだけ、数字を見てみます。

売上30万円に対して、食材や仕入れが10万円。
つまり、売上のうち約3分の1が原価です。

残りの約3分の2、つまり約67%が、
家賃や人件費などを払うために残るお金です。

この割合を、会計では「限界利益率」といいます。

20万円 ÷ 30万円 = 約67%

毎月かかるお金が15万円なら、

15万円 ÷ 67% = 約22.5万円

つまり、このお店は、

月22.5万円売ればトントン

ということになります。

今の売上が30万円なら、
トントンラインは超えています。

ここまで見ると、まず
「お店全体として黒字ラインは超えているのか」
がわかります。

関連記事

損益分岐点の基本的な考え方は、次回以降のシリーズで詳しく解説しています。

予告:女性起業家の数字シリーズ②:損益分岐点とは?カフェの事例でわかる「何杯売れば黒字になる?」世界一やさしい利益の話

3. 次に「どの商品が売上を作っているか」を見る

お店全体の黒字ラインが見えたら、
次は商品別の売上を見ていきます。

カフェには、たとえば次のようなメニューがあります。

・ランチセット
・ナポリタン
・ミートソースパスタ
・カルボナーラ
・コーヒー
・ケーキ

ここで見たいのは、

どの商品が売上を作っているのか

です。

たとえば、売上30万円のうち、

商品売上
ランチセット12万円
ナポリタン6万円
コーヒー5万円
ケーキ2万円

というように分けて見るとします。

すると、

「売上の中心はランチセットなんだな」
「ナポリタンも売上を支えているんだな」
「コーヒーも意外と大きいな」

ということが見えてきます。

これが、売上ABC分析の考え方です。

ABC分析とは、ざっくりいうと、
売上の大きい商品から順番に並べて、
どの商品がお店の売上を作っているのかを見る方法です。

関連記事

ABC分析の基本的な見方は、次回以降で詳しく解説しています。
予告:女性起業家の数字シリーズ③:カフェのABC分析とは?数字が苦手でもできるメニュー見直しの方法

4. でも、売上が大きい商品が、利益を残すとは限らない

ここからが、とても大事です。

売上が大きい商品が、
必ずしも利益をたくさん残しているとは限りません。

たとえば、ランチセットはよく売れているかもしれません。

でも、食材費が高かったり、
仕込みに手間がかかったり、
付け合わせやドリンクまで含めると原価が思ったより高かったりすると、
売上のわりに利益が残りにくいことがあります。

反対に、コーヒーは売上額としてはランチセットより小さくても、
原価が低ければ、利益には大きく貢献しているかもしれません。

つまり、

売れている商品

利益を残している商品

は、同じとは限らないのです。

だから、売上を見たあとは、

どの商品が利益を残しているのか

を見ていきます。

5. 粗利で見ると、見え方が変わる

商品ごとに、次の計算をしてみます。

売上 − 原価 = 粗利

たとえば、次のような数字だったとします。

商品売上原価粗利
ランチセット12万円6万円6万円
ナポリタン6万円3万円3万円
コーヒー5万円1万円4万円
ケーキ2万円1.4万円0.6万円

売上だけで見ると、

  1. ランチセット
  2. ナポリタン
  3. コーヒー

の順に大きく見えます。

でも、粗利で見ると、

  1. ランチセット
  2. コーヒー
  3. ナポリタン

になります。

コーヒーは、売上ではナポリタンより小さい。
でも、原価を引いたあとに残るお金で見ると、
ナポリタンよりも利益に貢献している可能性があります。

ここに、メニュー改善のヒントがあります。

売上と利益は、別々に見る

売上だけ見ると、ナポリタンの方がコーヒーより大きく見えますね。

ハルコアラ先生

そうですね。でも、原価を引いて粗利で見ると、コーヒーの方が利益に貢献している場合があります。

なるほど。売れている商品と、利益を残している商品は違うことがあるんですね。

ハルコアラ先生

はい。だから、売上ABCだけで終わらせず、粗利でも見てみることが大切です。そうすると、何をおすすめするか、メニュー表で何を目立たせるかも変わってきます。

6. 売上ABCと粗利ABCを比べると、打ち手が見える

売上ABCと粗利ABCを比べると、
商品ごとの役割が見えやすくなります。

状態見方考えられること
売上も粗利も大きい主力商品しっかり目立たせる
売上は大きいが粗利が低い忙しいのに利益が残りにくい商品価格や原価を見直す
売上は小さいが粗利率が高いもっと伸ばしたい商品おすすめやセットに入れる
売上も粗利も小さい見直し候補残す理由を考える

たとえば、売上は大きいのに粗利が低い商品があれば、
次のようなことを確認します。

・価格が安すぎないか
・原価が上がっていないか
・分量を見直せないか
・仕入れ先を見直せないか
・提供方法を少し変えられないか
・セット内容が盛りすぎになっていないか

一方で、売上はまだ小さいけれど粗利率が高い商品があれば、
次のような打ち手が考えられます。

・メニュー表で目立たせる
・店頭でおすすめする
・人気商品とセットにする
・ランチ後の追加注文として提案する
・SNSで紹介する
・常連さんに一言おすすめしてみる

つまり、数字を見ることで、
「何をもっと売るべきか」
「何を見直すべきか」
が考えやすくなります。

7. 打ち手は「もっと集客」だけではない

利益を増やすというと、

「もっとお客さまを増やさなきゃ」
「もっと販売数を増やさなきゃ」
「SNSをもっと頑張らなきゃ」

と思いがちです。

もちろん、集客は大切です。

でも、利益を増やす方法は、集客だけではありません。

たとえば、

・価格を少し見直す
・原価を見直す
・粗利の高い商品をおすすめする
・セット販売にする
・メニュー表で目立たせる商品を変える
・商品数を少し整理する
・手間がかかりすぎる商品を見直す
・よく売れるけれど利益が薄い商品の設計を変える

こうしたことでも、手元に残る利益は変わります。

大切なのは、

売上を増やすことだけを考えるのではなく、利益が残る売り方に整えること

です。

8. 損益分岐点とABC分析は、つなげて見る

ここまでを整理すると、次のようになります。

見る数字わかること
損益分岐点お店全体の黒字ライン
売上ABC売上の柱になっている商品
粗利ABC利益を残している商品

損益分岐点では、

月いくら売ればトントンか

を見ます。

売上ABCでは、

どの商品が売上を作っているか

を見ます。

粗利ABCでは、

どの商品が利益を残しているか

を見ます。

つまり、

お店全体として、いくら売ればよいのか。
今の売上は、何の商品で作られているのか。
手元に残る利益は、何の商品から生まれているのか。

この順番で見ていくと、
「もっと集客しなきゃ」で止まらず、
具体的なメニュー改善につなげやすくなります。

数字は、自分を責めるためではなく整えるために使う

数字を見ると、つい『もっと頑張らなきゃ』って思ってしまいそうです。

ハルコアラ先生

数字は自分を責めるために見るものではありません。お店を続けやすくするために見るものです。

どの商品が売上を作っていて、どの商品が利益を残しているのか。そこが見えると、少しずつ整えられますね。

ハルコアラ先生

そうです。『もっと集客』だけではなく、今ある商品や売り方を見直す。売上を増やすことも大切ですが、手元に残る利益を増やすことも大切です。

まとめ|売上を増やす前に、利益の流れを見てみる

カフェ経営では、売上を見ることは大切です。

でも、売上だけを見ていると、

「売れているのに利益が残らない」
「忙しいのに楽にならない」
「もっと集客しないといけない」

と思いやすくなります。

そんなときは、次の順番で数字を見てみましょう。

1. 損益分岐点を見る
月いくら売ればトントンになるのかを確認する。

2. 売上ABCを見る
どの商品が売上を作っているのかを確認する。

3. 粗利ABCを見る
どの商品が利益を残しているのかを確認する。

この3つを見ると、

・何をもっとおすすめするか
・どの商品を見直すか
・どの組み合わせを増やすか
・価格や原価をどう整えるか
・メニュー表で何を目立たせるか

が考えやすくなります。

大切なのは、売上を増やすことだけではありません。
手元に残る利益を増やすことです。

数字は、怖いものではありません。
お店を続けやすくするための道しるべです。

「売れているのに苦しい」状態から、
「売上も利益も整って、続けやすいお店」へ。

そのために、まずは今ある売上と利益の流れを、
楽しく少しずつ一緒に見ていきましょう。

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