女性起業家の数値シリーズ①:カフェのABC分析とは?数字が苦手でもできるメニュー見直しの方法

小さな会社の品ぞろえを考える基本知識ABC分析

こんにちは!中小企業診断士のはるこです。
カフェや喫茶店を経営しているかたから、こんなご相談をよくうけます。


「どのメニューが本当に売上を支えているのかわからない」

「メニュー数が増えて、仕込みや在庫管理が大変になってきた」

「売れていると思っていた商品が、本当に儲かっているのか不安」


そんなときに使えるのが、ABC分析です。

”分析”と聞くと、少し難しく感じるかもしれません。

でも、カフェのメニューに置き換えると、とてもシンプルです。


ABC分析とは、売上が大きい順にメニューを並べて、上から足していったときに、売上全体の70〜80%を占めるのは何品目かを見る分析です。


つまり、100品目メニューがあるとして、

売上の大部分を作っているのは、上位何品なのか。

それを見える化する方法です。

この記事では、カフェ・喫茶店のメニューを例に、ABC分析の考え方、インプットデータの整理方法、Airレジや手書き伝票からの始め方まで、できるだけやさしく整理します。




ABC分析とは?カフェでいうと「主力メニューを見つける分析」

ABC分析とは、商品やメニューを売上や利益への貢献度が高い順に並べ、重要度ごとにA・B・Cに分ける方法です。

カフェでいえば、次のようなことを考えるために使います。


知りたいこと ABC分析で見えること
どのメニューを目立たせるべきか 売上を支えている主力メニュー
どの材料を欠品させてはいけないか 売上への影響が大きいメニュー
どの商品をセット化するとよいか 主力商品と組み合わせやすい商品
どのメニューを見直すべきか 売上貢献が小さい商品
メニュー数を減らしてよいか 残す理由がある商品・見直す商品

ABC分析は、単なる売上ランキングではありません。

売れている順番を見るだけではなく、「お店の売上は、どのメニューにどれくらい支えられているのか」を見ることが大切です。




ABC分析の基本:売上の70〜80%を占めるのは何品目かを見る

ABC分析の基本は、次の考え方です。


100品目ある商品のうち、売上の70〜80%を作っているのは上位何品目かを見る。


たとえば、100品目のメニューがあるカフェで、上位10品だけで売上の70%を作っているとします。

この場合、その10品はお店の売上を支える重要メニューです。

一方で、上位50品まで足さないと売上の70%に届かない場合は、売上がいろいろなメニューに分散している状態です。


状態 見方
上位5品で売上70% 売上がかなり集中している。主力が明確だが、依存リスクもある
上位20品で売上70% ある程度、主力商品が見えている状態
上位50品で売上70% 売上が分散している。メニュー管理が複雑になっている可能性もある

つまりABC分析では、

「どの商品が売れているか」だけではなく、

「どれくらい少ない商品で、売上の大部分を作っているか」を見ます。




A・B・Cの意味

ABC分析では、売上への貢献度に応じて、商品をA・B・Cに分けます。


区分 目安 カフェでの意味
A商品 累積売上70〜80%くらいまで 売上の柱。欠品させない、目立たせる、品質を守る
B商品 累積売上90〜95%くらいまで 中堅商品。Aに育てるか、役割を明確にする
C商品 残り 見直し候補。すぐ廃止ではなく、残す理由を確認する

ここで大事なのは、C商品=いらない商品ではないということです。

C商品でも、常連さんが頼む、季節限定で必要、お店らしさを伝える、SNSで目を引くなど、別の役割を持っている場合があります。




カフェメニューでABC分析をしてみる

では、具体例で見てみましょう。

ある喫茶店の1か月の売上が、次のようになっていたとします。


メニュー 販売数 単価 月間売上
ブレンドコーヒー 300杯 500円 150,000円
モーニングセット 180食 700円 126,000円
ナポリタン 100食 900円 90,000円
カフェラテ 90杯 550円 49,500円
チーズケーキ 80個 600円 48,000円
紅茶 40杯 500円 20,000円
クリームソーダ 30杯 650円 19,500円
サンドイッチ 20食 800円 16,000円
プリン 25個 500円 12,500円
ココア 10杯 550円 5,500円

この場合、月間売上の合計は537,000円です。




手順1:売上が大きい順に並べる

まずは、メニューごとの売上を大きい順に並べます。


順位 メニュー 月間売上
1ブレンドコーヒー150,000円
2モーニングセット126,000円
3ナポリタン90,000円
4カフェラテ49,500円
5チーズケーキ48,000円
6紅茶20,000円
7クリームソーダ19,500円
8サンドイッチ16,000円
9プリン12,500円
10ココア5,500円

ここまでは、売上ランキングです。

ABC分析では、ここからさらに全体売上に対する割合を見ます。




手順2:構成比を出す

構成比とは、全体売上のうち、そのメニューが何%を占めているかです。


構成比 = そのメニューの売上 ÷ 全体売上


たとえば、ブレンドコーヒーの場合は、

150,000円 ÷ 537,000円 = 約27.9%

となります。




手順3:累積構成比を出す

次に、売上が大きい順に、構成比を上から足していきます。

これを累積構成比といいます。


順位 メニュー 売上 構成比 累積構成比
1ブレンドコーヒー150,000円27.9%27.9%
2モーニングセット126,000円23.5%51.4%
3ナポリタン90,000円16.8%68.2%
4カフェラテ49,500円9.2%77.4%
5チーズケーキ48,000円8.9%86.3%
6紅茶20,000円3.7%90.0%
7クリームソーダ19,500円3.6%93.6%
8サンドイッチ16,000円3.0%96.6%
9プリン12,500円2.3%99.0%
10ココア5,500円1.0%100.0%

この表を見ると、上位4品で売上の約77%を作っていることがわかります。

つまり、このカフェでは、


ブレンドコーヒー

モーニングセット

ナポリタン

カフェラテ


この4品が、売上を支える主力メニューだと考えられます。




手順4:A・B・Cに分ける

この例では、次のように分けられます。


区分 メニュー 考え方
A商品 ブレンドコーヒー、モーニングセット、ナポリタン、カフェラテ 売上の約77%を作る主力商品
B商品 チーズケーキ、紅茶、クリームソーダ 中堅商品。育成や役割確認の対象
C商品 サンドイッチ、プリン、ココア 売上貢献は小さいが、見直しながら判断する商品

ここで注意したいのは、ABC分析は「C商品を切るための分析」ではないということです。

ABC分析は、

何を伸ばすか。

何を育てるか。

何を見直すか。

その優先順位を決めるための整理です。




Airレジを使っている場合のデータ整理方法

では、実際の店舗では、どのようにデータを集めればよいのでしょうか。

AirレジなどのPOSレジを使っている場合は、商品別売上データを使います。

見るべき項目は、まずこの3つです。


項目 使い方
商品名 メニュー名として使う
販売数 何個売れたかを見る
売上金額 売上への貢献度を見る

最初から難しく考えなくて大丈夫です。

まずは、1か月分の「商品別売上」を出して、売上金額が大きい順に並べるだけでも十分です。


最初に見るのは、メニュー名・販売数・売上金額。この3つで十分です。


余裕が出てきたら、カテゴリーも加えます。


カテゴリー
ドリンク コーヒー、紅茶、カフェラテ、ココア
フード モーニング、ナポリタン、サンドイッチ
デザート ケーキ、プリン、アイス
季節商品 かき氷、ホットチョコ、季節限定パフェ

カテゴリーをつけると、ドリンクに売上が偏っているのか、フードが弱いのか、デザートがセット販売に効いているのかが見えやすくなります。




手書き伝票の場合は、まず1週間だけでよい

手書き伝票のお店では、いきなり1か月分を集計しようとすると大変です。

最初は、代表的な1週間だけで十分です。


まずは、平日5日+土日2日=7日分を集計する


大雨の日、イベント日、臨時休業明けなど、極端な日は避けた方がよいです。

手書き伝票の場合は、メニューごとに「正」の字で数えるだけでも始められます。


メニュー 合計
ブレンドコーヒー 35 38 40 37 42 55 53 300
モーニングセット 20 22 24 21 23 35 35 180
ナポリタン 12 13 14 11 15 18 17 100

合計数が出たら、次は単価をかけます。


販売数 × 単価 = 売上


たとえば、ブレンドコーヒーが300杯、単価500円なら、売上は150,000円です。

このようにして、メニューごとの売上を出します。




Excelが苦手でもできる、最低限の整理表

Excelが苦手な場合、最初から関数やピボットテーブルを使う必要はありません。

まずは、この表だけ作れれば十分です。


メニュー 販売数 単価 売上 ABC
ブレンドコーヒー300500円150,000円A
モーニングセット180700円126,000円A
ナポリタン100900円90,000円A
カフェラテ90550円49,500円A
チーズケーキ80600円48,000円B

最初のゴールは、きれいな分析表を作ることではありません。

「どの商品が主力なのか」を見えるようにすることです。




分類は「大分類」と「役割分類」の2つで考える

ABC分析では、売上だけでなく、メニューの分類も大切です。

おすすめは、分類を2つに分けることです。


1つ目:大分類

大分類は、ドリンク・フード・デザートなどのざっくりした分類です。


大分類 メニュー例
ドリンク コーヒー、紅茶、カフェラテ、ココア
フード モーニング、ナポリタン、サンドイッチ
デザート チーズケーキ、プリン、アイス
季節商品 かき氷、ホットドリンク、限定スイーツ

最初は、このくらいの分類で十分です。

細かく分けすぎると、かえって判断しづらくなります。


2つ目:役割分類

もうひとつ大事なのが、メニューの役割です。

売上が小さくても、役割があるメニューはあります。


役割分類 意味
看板商品 お店らしさを伝える商品 ブレンドコーヒー、名物プリン
集客商品 来店のきっかけになる商品 モーニング、季節パフェ
利益商品 粗利が残りやすい商品 コーヒー、紅茶
セット商品 客単価アップに効く商品 ケーキ、サラダ
常連商品 常連さんがよく頼む商品 ココア、トースト
季節商品 季節によって売れる商品 かき氷、ホットチョコ

この役割分類があると、C商品をすぐに削らずに済みます。

たとえば、プリンがC商品だったとしても、お店の名物として育てられるなら、残す意味があります。




A商品は「守る・伸ばす」

A商品は、お店の売上を支える主力商品です。

この例では、ブレンドコーヒー、モーニングセット、ナポリタン、カフェラテがA商品でした。

A商品に対しては、次のような打ち手を考えます。


A商品の打ち手 具体例
欠品させない コーヒー豆、卵、パン、パスタの在庫管理を丁寧にする
メニュー表で目立たせる 写真を大きくする、おすすめ表示をつける
品質を安定させる 味、量、提供スピードをぶらさない
セット化する ナポリタン+コーヒー、カフェラテ+ケーキなど
価格を見直す 値上げしても注文が落ちにくいか検討する

A商品は、削る対象ではありません。

基本は、守る・伸ばす・もっと伝えるです。




B商品は「育てる・役割を決める」

B商品は、まだ主役ではありませんが、伸ばせる可能性がある商品です。

この例では、チーズケーキ、紅茶、クリームソーダがB商品でした。


B商品 考えられる打ち手
チーズケーキ コーヒーとのセット販売でA商品に育てる
紅茶 午後利用やゆっくり過ごしたいお客様向けに訴求する
クリームソーダ SNS映えや季節限定メニューとして活用する

B商品は、放置しないことが大切です。

次のA商品に育てるのか。

セット商品として活かすのか。

季節商品として打ち出すのか。

役割を決めることで、メニュー全体が整いやすくなります。




C商品は「すぐ廃止」ではなく、残す理由を確認する

C商品は、売上貢献が小さい商品です。

ただし、ここでよくある間違いがあります。


C商品だから、すぐにやめる。

これは少し危険です。


C商品にも、残す理由がある場合があります。


C商品でも残す理由
常連さんが頼む 毎週ココアを頼むお客様がいる
季節に売れる 冬だけココアが売れる
名物化できる 昔ながらのプリンが看板商品になる可能性がある
セット販売に効く ケーキやプリンがドリンク注文を増やす
お店らしさにつながる その店らしい昔ながらのメニューである

C商品は、いらない商品ではなく、見直す商品です。

廃止するのか。

季節限定にするのか。

曜日限定にするのか。

セット専用にするのか。

役割を変えることで、残し方が見えてくる場合があります。




売上だけでなく、できれば粗利も見る

ABC分析では、まず売上で見るのがわかりやすいです。

ただし、カフェの場合は売上だけで判断すると危険なことがあります。

なぜなら、


よく売れているけれど、実はあまり利益が残っていない商品があるからです。


たとえば、ナポリタンがよく売れていても、材料費や調理時間がかかりすぎている場合があります。

一方で、コーヒーや紅茶は、売上単価はそこそこでも粗利が残りやすい場合があります。

余裕があれば、次のように考えます。


見るもの 意味
売上ABC どの商品が売上を作っているか
粗利ABC どの商品が利益を作っているか

粗利は、次の式で考えます。


粗利 = 売上 − 原価


ただし、最初から正確な原価を出そうとしなくても大丈夫です。

最初は、原価感を「高い・普通・低い」で分けるだけでも役に立ちます。


メニュー 原価感 手間感 見方
ブレンドコーヒー 低い 軽い 利益が残りやすい
ナポリタン 普通 やや重い 売れるがオペレーション確認が必要
サンドイッチ 高め 重い 売上が小さいなら見直し候補
プリン 普通 普通 名物化できるか検討

数字が苦手な場合は、まずはこのくらいの整理で十分です。

正確な原価計算より先に、「売れている・利益が残る・手間が重い」の関係を見えるようにしましょう。




実務で使いやすい判断表

ABC分析をした後は、次のような表にすると、打ち手が考えやすくなります。


メニュー 大分類 売上ABC 原価感 手間感 役割 判断
ブレンドコーヒー ドリンク A 低い 軽い 看板・利益商品 強化
モーニングセット フード A 普通 普通 集客商品 維持・改善
ナポリタン フード A 普通 やや重い ランチ主力 セット化
チーズケーキ デザート B 高め 軽い セット商品 価格・セット見直し
ココア ドリンク C 低い 軽い 季節商品 冬限定

このように整理すると、ABC分析が「表を作って終わり」ではなく、具体的な改善につながります。




ABC分析から考えるメニュー改善の例

ABC分析をした後は、次のように考えます。


分析結果 考える打ち手
A商品が明確 メニュー表で目立たせる、SNSで紹介する、欠品を防ぐ
A商品だが手間が重い 仕込み方法、提供手順、価格を見直す
B商品に伸びしろがある セット販売、POP、季節訴求で育てる
C商品が多い メニュー数を整理し、仕込みや在庫負担を減らす
C商品に固定ファンがいる 廃止ではなく、限定化・予約制・曜日限定を検討する

ABC分析は、メニューに成績表をつけるためのものではありません。

お店の限られた時間、人手、仕入れ、メニュー表のスペースを、どこに集中するかを決めるための道具です。




最初から完璧を目指さなくていい

小規模なお店では、最初から完璧な分析を目指す必要はありません。

特に、手書き伝票やExcelが苦手な場合は、次の順番で十分です。


段階 やること
第1段階 1週間分の販売数を数える
第2段階 販売数 × 単価で売上を出す
第3段階 売上が大きい順に並べる
第4段階 A・B・Cに分ける
第5段階 それぞれの打ち手を考える

まずは、正確さよりも、会話できる表を作ることが大切です。

「なんとなく売れている気がする」から、

「この4品で売上の約8割を作っている」へ。

「なんとなく大変」から、

「この商品は売れているけれど手間が重い」へ。

このように言葉にできるだけで、メニュー改善の話し合いはかなり進めやすくなります。




まとめ:ABC分析は、カフェのメニュー作戦会議に使うもの

カフェのABC分析は、難しい数字の分析ではありません。

売上が大きい順にメニューを並べ、上から足していったときに、売上の70〜80%を占めるのは何品目かを見る。

そこから、主力商品、育成商品、見直し商品を整理する。

これがABC分析の基本です。


A商品は、守る・伸ばす。

B商品は、育てる・役割を決める。

C商品は、すぐ廃止ではなく、残す理由を確認する。


AirレジなどのPOSレジがある場合は、商品別売上データを使えば始められます。

手書き伝票の場合でも、まずは1週間分を「正」の字で数えるところからで大丈夫です。

大切なのは、きれいな分析表を作ることではありません。

お店のメニューを、感覚だけでなく数字でも見て、これから何を伸ばすのか、何を見直すのかを決めることです。


ABC分析は、カフェのメニューに優劣をつけるためのものではなく、

「このお店を、どの商品で強くしていくか」を考えるための作戦会議です。

まずは、1週間分のメニュー別売上から。

小さく始めるだけでも、お店の見え方は大きく変わります。

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